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本気で建築家を目指す学生が知っておくべきこと

これから、本気で建築家を目指す学生さんへ。

もし、あなたが建築家を目指すのであれば、建築学会賞やプリツカー賞をとるつもりで勉強をしましょう。
受賞できるできないということが大事ではなく、自分には取れるわけがない、という考えだけは持ってはいけません。

軽い気持ちでいいので、いつかは受賞するつもりで建築家を目指してください。
自分の人生に可能性を感じていない人は、そこらへんの建築設計士で人生が終わってしまいます。
むしろ、これからはAIが建築の設計やデザインをする時代がやってきます。
AIに仕事を奪われないような力を学生のうちにつけておきたいです。

さて、僕は本当は建築家になりたかったはずですが、いまは家具の設計・デザインを職業としています。
もちろん、まだこれから建築の世界に入る可能性もありますが、こうなってしまったのは大学時代の過ごし方に問題があったと思っています。もしあなたが学生ならこの記事を参考に学生時代の過ごし方を考え直してください。
失敗したからわかる多くの学生がとらわれがちなポイントをしぼり、建築家になるため道へのアドバイスを、書かせていただきました。

もしあなたが本気で建築家を目指すなら、下記の記事を参考にして勉強に励んでください。

1)バイトはするな

学生時代は、唯一自由に勉強をすることが許される時期です。
多くの学生がハマりやすいのは、この時期にアルバイトに精をだして、お金を稼ぐことを覚えてしまうことです。
しかし、学生時代に稼いだお金なんて、服を買ったり、飲みにいったりして、大して身につかないものに浪費してしまいます。
その浪費欲を満たすために、さらにバイトに精をだしてお金を稼ぎます。
せっかく勉強できる時間があるのに、バイトなんかに時間をつかってしまうのは、非常にもったいないことです。

社会人になって勉強の大切さに気づくのですが、その頃には自分の時間がほとんどなくなり、勉強をする時間を作るのに四苦八苦します。
もちろん、建築学生は模型代やらなんやら多少お金がかかりますが、なるべく親に頼んでお金を融通してもらったほうがいいです。
家庭の事情で、「バイトをしなければ模型代や製図用具を買うお金がない。」という方もいると思います。
僕が当にそうでした。バイトをしなければならない状況でも、バイト選びは慎重にしましょう。
どうしてもバイトをする必要がある場合は、体力を使う仕事ではなく、知力を使う仕事を選びましょう。

たとえば、塾講師です。僕は大学1年のときに塾講師をしていました。
その後、エ◯ビデオ屋の店員、コンビニの店員、掃除屋の作業員、居酒屋の店員を経験しました。

一番稼ぐことができたのは、エ◯ビデオ屋の店員でした。
ここで大事なのは、バイト先によって出会う人のレベルが違うことです。

体力系の仕事をする人は、高卒やフリーターが多いです。
この人達と交わってしまうと、せっかく大学入ったのに、考え方がそのレベルに下がってしまいます。
塾講師は最低大学生以上なので、それなりの人材がいます。特に、塾の経営者や教室長などからは学ぶことが多いです。

ですが、当時の自分はお金に目がくらみ、塾講師からエ◯ビデオ屋の店員に成り下がりました。
しかし、身入りは本当に良かったです。

すこし語弊があると思いますが、高卒やフリーターでも立派な方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、クスリをやっていたり、非合法なことをする方もいます。

エ◯ビデオ屋のときは、仕事中にマリファナを吸ってる人がいましたが、その人は最終的に店の売り上げに手をつけて逃げました。
学生時代はいろんなことに興味を持ちますが、道を踏みはずしている人となるべく交わらないほうが、悪影響をうけずにすみます。
いろんなことを経験するのは大事ですが、建築家というまっとうな仕事を目指すのであれば、まっとうな友人関係を築くのはもっと大事です。

もちろん建築学生ですから、先輩の紹介など設計事務所のバイトの話があれば、それはぜひ受けたほうがいいです。
もしタダ働きの場合は、相手を選んで話を受けましょう。将来のチャンスに繋がる場合もあります。

しかし、学生の本分は勉強ですから、勉強をおろそかにするほどバイトにハマるのはやめて下さい。
※親の経済的な問題でアルバイトをする方をいると思います。僕の場合も片親のため、アルバイトをせざる得ない状況でした。
一方で大学の友人は、十分な仕送りをもらいバイトをせず時間的な余裕がありました。傍目で羨ましかったです。
いまはアフィリエイトやクラウドワークスなどインターネットを利用したビジネスもあります。バイトは最低限にして勉強がおろそかにならない程度にするべきです。

2)授業は休むな

僕の大学生時代を振り返ると、興味のある授業以外はほとんど出ていませんでした。
なので、大学で受けた授業の内容はほとんど覚えていません。
いざ建築士取得の勉強をはじめて自分の知識の無さにびっくりしました。
僕は、大学でいったい何を勉強したのでしょうか。

大学の授業は90分と長いので、長時間集中して聞くのは疲れますし、寝不足や飲み会の次の日などは、眠くなって授業中寝てしまうかもしれません。
それでも、まずは授業に出ることは心がけてください。
そして、つまらない授業であれば、その時間に授業を聞かないで、教科書を読んで授業の内容を理解して記憶することに集中してください。

建築家を目指す人にとって一つの山場が、1級建築士の取得です。
多くの人がおちいるパターンは、せっかく大学に高い授業料を収めたのにかかわらず、ろくに授業を聞いていないので、基礎的な建築知識が身についていない。

そのため、いざ社会人になって1級建築士を取得するために、また高い授業料を払って日建学院などに通って勉強するはめになります。
上にも書きましたが、社会人になるとなかなか勉強する時間がありません。
設計事務所に勤めた場合は、休日以外はほとんど勉強する時間が作れないでしょう。

社会人になって勉強に励む前に、学生時代に建築士取得する準備に入っていた方がいいです。
一番効率がいいパターンは修士に進み、自分の研究をしながら1級建築士の勉強をすることです。
僕は10代~20代は、ほんとうに勉強が嫌いでした。

そして、勉強嫌いがたたって今のような状況になってしまいました。
学生の本分は勉強ですので、なるべく授業に出て自分の知識を蓄えることに励むのが一番いいです。
成績が良ければ、ゼミを選ぶ時も、就職するときも有利になります。
修士に進む場合も、他大学への推薦や奨学金を取得することもできるかもしれません。
自分の大いなる目標のために、目の前の誘惑に負けないでください。
まずは授業に出てください。

さらに、建築学生がおちいりがちなのが、設計製図の授業に時間をかけ過ぎることです。
もちろん設計製図でいい成績を取るのは大事です。
ですが、徹夜などして次の日の授業をさぼるのはまずいです。
ポイントさえ押さえていれば、設計製図はそれなりの成績取れるはずです。

1)に書いたように、バイトをしないで夜は自分の時間がある生活をおくっていれば、こつこつと課題をこなしていけるはず。

設計製図の成績さえ良ければいい、という考えは捨ててください。

学生の本分は勉強です。
大学生は半社会人みたいなことをいう人がいますが、社会人には時間が経てばなれますので、社会に憧れなくていいです。
学生時代には勉強に専念することが大事です。

3)長期休暇は有効に使え

大学生は休みが長いです。1年のうちに4~5ヶ月が休暇です。
この休暇期間の過ごし方で人生変わってきます。
多くの学生がはまるパターンは、1)で書いたバイトに精をだす。そして、稼いだお金は、大して身にならないものに無駄遣いする。
このパターンは平凡な社会人として生きる道です。自分は完全にこのパターンでした。

長期休暇のあいだ全く勉強しないので、期末に勉強した内容もすっからかんに忘れてしまいます。
しかし、建築家を本気で目指すのであれば、これではいけません。
せっかくの長期休暇です。有効に使いましょう。

親がお金を都合してくれるなら、なるべくバイトはしないほうがいいです。
「バイトをしなければ、やることがないよ-」と思うかもしれません。

実は、大好きな設計製図の勉強をしながら、お金を稼げる可能性があります。
ただし、お金が稼げるかどうかは本人次第ですが、それを行うことは自分のためになります。
そして、何度も繰り返せば、建築家への道が自然とついていきます。

もうおわかりかとおもいますが、コンペに応募することです。下記のサイトで調べるとほぼ毎月コンペがあります。
コンテスト 公募 コンペ の[登竜門]

長期休暇は、是非コンペに応募してください。
分野は建築に限らず、家具やデザイン、フォトコンテストなんでもいいです。

「とにかくやってみて応募する」これを毎週繰り返していると、コンペのコツがわかっていつか入賞します。

入賞すると自信になり、やる気がでてきます。
これをひたすら繰り返していると、賞が増えてゼミ選びや就職活動の助けになります。
そして、設計製図の授業の勉強にもなりますし、入賞したら賞金ももらえます。

ヘタなバイトするよりよっぽど魅力的な金額のコンペもあります。
こんないいことずくめのコンペですが、意外と応募者が少ないです。
それは、最初から賞を取ろうとして考えるからです。

「考えても完璧なものができず、これじゃダメだからやめよう」
って簡単に諦めてしまう人が多いんですよ。
しかし自分がダメと思っても、他人は評価してくれるかもしれません。
みんな時間をかけてやったことが、入賞せずに無駄になってしまうことが、傷つくことが怖いんです。
でも、なにかやって応募したら、たとえそのとき入賞しなくても、その経験が次に繋がるはずです。
入賞しないからといって、傷つく必要はありません。なにかしらスケッチでもなんでも描いて期限までに送ることを繰り返すべきです。とにかく続けているとコツがわかってきて、入賞するようになります。あきらめないで続けてください。

「コンペだけやってても暇だよー」
という方には資格試験取得の勉強をお勧めします。
以下の資格試験は学生でも取得可能です。

建築関係であれば、

◯カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター  → 東京商工会議所
インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリスト   → インテリア産業協会
宅建   →  不動産適正取引推進機構

ここらへんの試験は、大学の勉強に比べると簡単と感じるかもしれませんが、建築士取得に向けて基礎的な範囲になりますので、暇つぶしに勉強するにはいいと思います。
また、宅建は持っていると、何かと役に立ちます。
その他にはTOFLもしくはTOEICや英検の勉強もお勧めします。

今後、建築家の仕事はさらにグローバル化が加速するでしょうから、是非英語に対する壁をとりはらう努力をしてください。
もしお金があるならば、学生のうちに1ヶ月くらい海外へ語学留学するのもいいかもしれませんね。
学生のうちにいろんな国に行って、いろんな国の人と出会うべきです。
今の時代は、SNSで簡単に世界中のひとと繋がることができます。
長期休暇を利用して、自分の好きな分野の勉強したり、コンペに応募したりしていたら、長期休暇はバイトなんかしている場合ではないわけです。

最後に・・・

ここまでは、昭和生まれの僕たちが歩んだ王道の建築家へ道でした。
特に、学生時代にコンペで賞を取っておくと、有名な設計事務所へ就職しやすかったですね。

しかし、今では大分時代が変わってきました。
最初にも書きましたが、これからはAIや機械が設計してくれる時代が来ます。
そうなると、設計士という職業自体が必要なくなる可能性があります。

ところが、建築家という職業には希望が残ります。
AIが出来ないことを出来る可能性があるのも人間だからです。
ですが一方で、個人がなんでも出来る時代にもなりつつあります。

ブログがわかりやすい例ですが、誰もが簡単にブログを書くことが出来るようになったので、誰もが情報発信者になれる時代になったのです。Youtubeなんかもそうですね。
AIが発達すれば、構造計算や法規的な問題は、AIが全て考えて解決してくれるから、家の建主が自分で家をデザイン出来る時代が近づいて来ています。
若い人の世代だったら、
「有名な建築家に家を設計してもらった」
というよりも
「この家、オレが設計・デザインして家を建てたんだ」
って言いたい人の方が多いと思うんです。

ただでさえ、日本の建築家なんてオッサンばっかりです。
彼らは既得権益を守ろうとすればするほど、若い人は反感を持ちます。
AIの出来ないことを出来る可能性があるのが建築家だけど、そもそも建築家という一種の芸術家的な職業の需要は減っていくのではないか。
僕はそう考えています。

趣味が多様化した現代社会では、人それぞれ好む家も違います。
ライフスタイルもそれぞれ違うから、個人個人の望む住まいを実現するのを手伝うこと、それが建築設計に関わる人の仕事になっていくのかな。
どちらにしても、いままでの建築家として生きる道の王道が変わりつつあることは確かで、いかに未来をみてシフトチェンジしながら、新しい時代の建築家になれるのか。
それが、いま建築学生であるあなたの考えるべきことです。

先日、グッドデザイン賞を受賞した大学の友人との対話をアップしました。
グッドデザイン賞を獲っても彼は自分のことを建築家とは思っていないようですね。
参考になると思うので、是非こちらも御覧ください。
「うわーっ」という感動で満せたら・・・宇和建築設計事務所 宇都宮俊との対話

About

筆者プロフィール:Koike Yusuke(デザイナー&マーケター)
木造建築士という建築知識をバックグラウンドに、ベトナム南部で家具のマーケティング・デザイン・商品開発をしています。ベトナム史が好きなので、ベトナム建築を古代から現代まで調べてます。建築や家具、デザイン、マーケティングはもちろん、ベトナム史やビジネスについて当ブログにまとめています。また、これらのテーマについて前向きに語り合える方募集しています。Twitterやインスタでお気軽にDMください。
資格:木造建築士 / カラーコーディネーター1級(商品色彩)
Twitter @yusukekoike21
Instagram @ample.style
メール:amplestyle108★gmail.com(★を@に変換)

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