TOC(制約理論)は生産を上げるのだけの理論ではない
TOC(Theory of constrains, 制約理論)と呼ばれる考え方があります。
http://www.j-toc.jp/about/index.html
簡単に言うと、ボトルネック(制約)を探して、そこを広げてやけば、能力が上がるという考え方です。
その制約部分を、ボトルの細くなってい部分「ネック」に例えて、ボトルネックと呼ばれています。
ボトルなら、ネックを広げれば一度に出る水の量を増やすことが出来ます。
逆に、制限したいならネックを作って調整してやればいいわけです。
ボトルなら、ネックを広げれば一度に出る水の量を増やすことが出来ます。
逆に、制限したいならネックを作って調整してやればいいわけです。
工場に当てはめると、そのボトルネックの生産量を増やさないかぎり、いくら他の部分を改善して、部分的な生産能力をアップさせても、全体の生産量は増えないわけです。
そのことについて、わかりやすく書いている本がこれ
有名な著書なので、読まれた方も多いことでしょう。
分厚い本ですが、ストーリーが面白いので、意外と読み易いですよ。
とはいえ、理屈はなんとなくわかるけど、実践できるものなのかが疑問でした。
TOCの実例
以前、僕がいた工場での例を紹介します。
その工場は、大手小売家具店に出荷しているダイニングセットがヒットして、オーダーに対して出荷が足りない状態。いわゆるキャパオーバーとなっていました。
で、どこの工程のキャパが足りないのか。
いわゆるボトルネックを探したところ、白木の切削加工の工程でした。
切削加工のキャパを決めるのは
機械の能力✕数 + 工員の数✕スキル✕生産性
切削加工のキャパを上げるには、高能力の機械と高いスキルの工員が必要ですが、その工場は面積も資金も限られており、機械の導入も人の追加もすぐにはできません。
そこで、ボトルネックを広げるためにした対策が白木加工の外注化です。
一番大きな制約条件を排除した方法は外注を増やしたことです。
これによって、出荷量は劇的に増えました。
売上が上がり、損益分岐点を大きく超えたことで利益も残るようになりました。
しかし、一つ問題がでました。
外注化したことで、原価率が上がり、単体でみるとその商品は赤字と判断されます。
外注先の間接費がのっかるわけだから、内製より直接費が上がるんですよね。
でも、内製の間接費は減るはずだから、実際は問題ではないんです。
しかし、直接費だけ眺めている人には、問題として取り上げられてしまうのです。
せっかく全体最適化ができているのに、一商品の原価を下げて部分最適化をしようとすると、結局は生産量が落ちてしまいます。
部分的にその商品の原価は改善しても、生産数が減ってしまったら、結果としては売上げが落ちて利益が減ります。
原価が下がっても、損益分岐点に達してないと、結局利益がでないんです。
利益を生むには、コストが上がっても売上とスループットを増やして、損益分岐点を上回ることも重要な指標となります。
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