ライフスタイルとは生活様式のことではないのか

ライフスタイル

ライフスタイルとは?

「ライフスタイルとは、特定の社会的背景での歴史的な特定の時点による個人と社会集団や社会全体の生活活動の全体的な性質」
ラドゥーギン

「個人のライフスタイルより高い次元に生活のライフスタイルがあり、生産方式が一定のライフスタイルを生み出す」
マルクスとエンゲルス

「ライフスタイルは、個人的な活動を社会的関係システムとして主観的に捉えたもので、人間の活動において具体化する全体的な生活条件」
ボドリヤノフ

「ライフスタイルは社会学的なカテゴリーであり、人間の生活の全体的な活動の概要である。階級、社会集団、個人などが一定の社会経済条件で規定される労働と享楽の発言であり、人と人との関係として精神と文化の中に成立する。」
チャン・ヴァン・ビン(TRAN VAN BINH)

どれも「ライフスタイル」という言葉を説明している文章だが、抽象的で小難しい。このままだと僕にとっては理解しがたい文章だ。

「ライフスタイル」は、そもそも英語で「LIFE STYLE」と書くが 日本語に直訳すると、「生活様式」という言葉になる。
ただし、上に見たように

ライフスタイル=生活様式

という意味で使われる場合は少ない、「ライフスタイル」という言葉自体がほぼ日本語として使われている。そして言葉のイメージだけで理解している方が多いのではないだろうか。
上の偉人たちの言葉の中で一番わかりやすいのは チャン・ヴァン・ビンの説明だろう。

「ライフスタイルは社会学的なカテゴリーであり、人間の生活の全体的な活動の概要である。

ライフスタイル:人間の生活の全体的な活動の概要

生活の全体的な活動の概要ということは、僕たちの日々の行い、特に衣食住についての概要。
だからライフスタイルが変わるということは、衣食住の活動が変化するということ。

例えば、「自分らしく素敵なライフスタイル」という言葉ある。

「美しいインテリアの素敵な家に住み、おしゃれで自分らしい洋服を身にまとい、日々美味しい料理に舌鼓をうつ。」
こんな生活がイメージされる言葉だろう。

心理学者アドラーの概念

次はアドラーのいう「ライフスタイル」の概念をみてみたい。
心理学では、 「ライフスタイル」は自分の考えや思想が投影されたもの、 としてとらえている。 例えば、心理学者のアドラーは以下のように意味づけしている。

<ライフスタイル>
・自分のことを自分がどう見ているか。(自己概念)
・他者を含む世界の現状についてどう思っているか。(世界像)
・自分および世界についてどんな理想を抱いているか。(自己理想)

心理学者アドラーは、個人の思考を「ライフスタイル」という言葉として表現している。

「ライフスタイル」とは、価値観や思想がアウトプットされたもの。
「ライフスタイル」とは、自分の考え方や思想が、 実際に現実化されたもの

例えば、言葉であったり、文章であったり、絵であったり、服装や趣味や好み、 そしてインテリアや暮らしに関することすべては、 その人の思考や考え方を元に現実の世界にアウトプットされたもの
それが「ライフスタイル」。

ところが逆の発想もありえる。
あるイデオロギーの中で生み出されたライフスタイルの中で生活していると、 その思想やイデオロギーが本人の考え方に影響をあたえる。
わかりやすく言えば、「国ごとにライフスタイルが異なる」ということ。

さて、アドラーの「ライフスタイル」の概念はあまり一般的とはいえない。
日本の現代社会で認識されている「ライフスタイル」という言葉は、 やはり「暮らしのスタイルや好み」という意味合いが強いように思う。

スタイルとは?

Lifeは「生活」や「暮らし」といった日本語はしっくりくる。
だけど、Styleに見合う日本語ってなんだろうか。
「様式」という言葉でも良いが少し堅苦しい気がする。やはり「スタイル」も日本語化しているといっていい。
で、その「スタイル」ってどういう意味だろうか?
Styleを辞書を引くと、「様式」「スタイル」「〜風」「やり方」「思想の表現法」などが出てくる。

ここで、僕がしっくりきたのは「思想の表現法」。ここまでの話とつながると思う。

製品戦略的なスタイル

かつて流行した製品がいくらかの期間をおいて再び流行することがある。製品戦略ではこれを「スタイル」よぶ。
製品戦略でのスタイルとは、食べ物・衣料・娯楽などにおいて特定の製品が流行ったり廃れたりしながら何世代にも渡って続いていく様子を指している。
例えば、アパレルやインテリアファブリックスでは特定の素材やカラーが数年ごとに流行しながら生き残っているケースが挙げられる。

マーケティング的なライフスタイル分類

マーケティング手法としての「ライフスタイル分類」というものがある。
収入に基づいてターゲット層のライフスタイルを大きく4つに分類するもの。
現代の日本人は、というかこの貨幣経済社会に暮らす人々のほとんどは、 収入によって価値観が違い「ライフスタイル」が異なる

収入によって、住む家の大きさ、住む場所が違う。
高収入の人は住む場所や家を選べるが、 低収入、貧困層になるほど選択肢は皆無となる。
かつての日本人は、1億総中産階級と言われたものの最近では、日本でも貧富の差が指摘されるようになった。それでも今の日本の世帯収入のボリュームゾーンは中流階級になる。そこそこの収入があり、趣味などにお金をかけられる人たちがまだまだ多い。
相変わらず中流層と言われるボリュームゾーンが多くの消費を占めていて、 この世帯の「ライフスタイル」をさらに細分化するために年代によって分類したもの。

<ライフスタイル分類 4つのカテゴリー>

1. 良識的で調和のある生活を求める人々(ボリューム層)

年代:30~40代が中心
収入:平均的
ライフスタイル:伝統的な価値観にこだわることがなく、どちらかといえば、合理性を信条とする。

2.ファッショナブルに生活を楽しむ人々(ファッションリーダー)

年代:30~40代が中心
収入:可処分所得が高い層
ライフスタイル:社会や家庭への所属意識が低く、自らの感性や感覚に強いこだわりを持つ。

3.知的で行動的な人々

年代:40~50代が中心
収入:大企業のエグゼクティブなどある程度の地位と財産を持っている。
ライフスタイル:自分自身の価値観に自信を持ち、個性的で知的な演出派

4.保守的で本格的な生活を求める人々(消費リーダー)

年代: 40~50代が中心
収入:資産などを持ち、平均年収が最も高い層
ライフスタイル:ものに対するこだわりが強く、ステータス志向、本物志向を持ち、 世界の一流品など高級で落ち着いた物を求める傾向が強い

インテリアライフスタイル

日本のインテリア雑誌では、 暮らしのスタイル、インテリアスタイルの分類と扱われている。
例えば、シンプルスタイルやモダンスタイル、 和モダンやアメリカンスタイルなど、 インテリアスタイル分類の大きなカテゴリーとして、 「ライフスタイル」という言葉がある。

わかりやすい、暮らしのライフスタイルの変化はこんな感じ。

もともと和室で畳の上で正座したりあぐらをかいて暮らしていた日本人が、欧米のライフスタイルを取り入れて椅子やソファに座る暮らしになった、というのが現代の日本人のライフスタイルの変化と言えるでしょう。
ただし、欧米と一言で言っても、「北欧」や「フレンチ」「イタリアン」「アメリカの西海岸」「モダン」などデザインによって細分化される。
また、モダン様式に和のテイストを加えて「和モダン」など、デザインと密接な関係がインテリアライフスタイルという言葉に含まれる。

アンプルなライフスタイルとは?

当ブログのサブタイトル「アンプルな暮らしを思考する」
ample(アンプル)とは、英語で「十分な」「裕福な」という意味で使われる。
アンプルに似た響きの言葉で、simpleという英語があるが、これはシンプルという日本語として使われている。それの対義的な意味で捉えても良いと思う。

だから、アンプルなライフスタイルとは、人々のゆたかな暮らしという意味で僕は使っている。

しかし、ここまでみてきたように「ライフスタイル」と一言で言ってもさまざまな概念があり、 その人の知識や教養によって受け取り方が違うもの。だから、心理学者や社会学者の考える「ライフスタイル」とインテリアコーディネーターの考える「ライフスタイル」は異なる。

文化の概念と同様、「ライフスタイル」にも異なる多くの概念があり、それは経済、社会、道徳、思想、世界観などによってさまざま。

話はアドラーに戻るが、 一番大事なことは自分の考え方次第で世界は変わる
人間の思考がアウトプットされたものが「ライフスタイル」 であれば、「アンプルなライフスタイル」=「豊かな暮らし」は手に入らない、さらに豊かな心と教養が必要だということが言えるだろう。

筆者プロフィール:Koike Yusuke
海外の家具メーカーで働く、商品開発エンジニア兼デザイナー。
資格:木造建築士 / カラーコーディネーター1級(商品色彩)/ マーケティング検定
(Twitterはお気軽にフォローください!@yusukekoike21

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